鈍色の雲がたちこめる下、私たちは海をながめていたですよ。ざっぱんざっぱんと波の音が絶えず、海岸の砂を波が絶えず巻き上げて、茶色い色のうねりとなってのたくっています。要するに荒れ模様ですな。ここは千葉県は館山のちょっと手前に位置する岩井海水浴場。ガイドブックを見ると遠浅で静かな海水浴場って書いてあるんですが、少なくとも自分がきた時には穏やかだった記憶がありません。古くは小学校の頃から訪れているはずなんですが、いつもこんなもんです。
なんでこんな所にやってきているかというと、今日開催される南房総オープンウォータースイムレース大会に参加するためです。佐渡の国際トライアスロンからまだ1週間しかたっていないんで、本来なら家でゆっくりしていたかったところなんですが、初めてのトライアスロン部のスズキシホさんに誘われて、お供をすることになってしまったわけなんです。翌々週に開催される九十九里トライアスロンに参加予定のシホさんは、本番前になんとかオリンピックディスタンスの1.5kmのスイムを体験しておきたいということらしいんですが、一人寂しく挑戦はイヤだから付き合えということで、むりくり引っぱり出されてしまいました。
なのにその引っぱり出した本人が、荒れ目の海を見てテンションだだ下がっているんですよねー。確かに荒れてはいるんですよ。ちょっと沖に浮かんでる小舟がウネウネあおられてるし、そこかしこに浮いてるブイもゆらゆらと落ちつきません。けど正直をいっちゃうと、この前の材木座海岸の時に比べればそれほどたいしたことないかなーって印象です。同じく大島でスゴい波の中ODを完走してきた初トラの総監督(そういうアダ名なだけで、別に役職ではないですよ)吉岡さんも、奥さん共々、まあなんとかなるんじゃない?みたいな顔で海をながめてます。けれど、定刻になっても一向にレースは始まりません。今年に入って国内のレースでの水難事故が相次いでいるんで、主催者側もかなり慎重になっているようですね。試泳はしてみましたが、頑張ればウェット無しでもなんとか泳げそうです。時期が時期だからクラゲも気になってたんですが、うーん、これは良く分かりません。なんせ視界ゼロみたいなもんなんで。でも潮の流れもそこそこあるんで、そんなもん流されちゃって居ないと思うことにしましょう。でもこの大会、多い年だとクラゲの群生の中をかき分けていかないといけない時もあったみたいですよ。
暫くして主催者から発表がありました。レースは500m、1500m、3000mとあるんですが、その中の500mのレースだけをとりあえず決行して、その様子を見て残りのレースをどうするか決定しようという考えに落ち着いたようです。500mが酷い有様ならば、残りの2種目はコースを縮小して距離短縮しますと、まあそういうことらしいです。
それではと500mのスタートに注目しようとしていると、今度はいきなりスコール。さらにバタバタ30分ぐらい遅れて、ようやくレースが始まりました。見ていると、あら、なんだか波に押し戻されて、最初のブイまでたどり着けてない選手が数人。まあ一番ビギナーの人が多い種目でしょうから無理もありません。それでなくても、千葉の方のOWSは神奈川あたりと比べて参加者の泳力の幅が大きいような気がします。その分参加の敷居が低くて参加しやすいのは良いことですが、こういったコンディションには弱いとも言えますねー。せっかくここまで来たんだから是非とも申し込んだ1500の距離は泳いで帰りたいなーと思っていたんですが、こりゃあどうやら短縮くさいかなー。3000に申し込んだ吉岡さんたちも、泳ぎたそーな顔。ただ一人だけ、手を合わせて短縮を祈っている人がいましたけどね。主催者側から1500は500のコースを2周、3000は3周に短縮しますというコールがあった時に『やった!』と嬉しそうに声をあげたので、軽く一発小突いておきました(´Д` )
ようやくスタート時間も確定して、競技説明会です。ここでは泳ぎに自信のない人には、目印の風船を配ってくれます。これをつけて泳ぐ人はセイバーもそれなりに注意して見ますよーってわけです。7月の北条海岸の時もそうですが、こういうのはいいシステムですねー。多少は気持ちに余裕を持って泳げますから。さっき私に小突かれたシホさんも、迷わず装着。なんだかとてもニコニコしているので、多少は気が楽になったのでしょう。私たちは全員一応ウェットを装着。安全第一なんで、無理はしません。でも周りを見ると、海パン一丁の人たちが大半を占めます。9割以上かな?そこらへんは、さすがにOWSの大会ってとこでしょうか。
そんなこんなで、1時間半ぐらい遅れてようやくスタート! 泳ぎだしてみると、やはり波はざっぱんざっぱん打ち付けてきます。ただまあこれだけ荒れてれば、クラゲがいても、向こうも刺してる暇が無いかもしれんなーなどと思いつつ、ゆったり腕をストローク。波打ち際を越えればさほど押し戻される感も無いし、ブイもしっかり近づいてきます。500を泳げなかった人たちは、浅瀬の波が壊れているあたりでバタバタやって力尽きちゃってたんですよね。沖のふたつのブイを回って帰ってくる三角形のコースですが、そんなわけでふたつ目のブイを回るまではひたすら順調でした。ただ、沖のブイから海岸に戻ってこようとすると、なんだか具合がおかしい。ヘッドアップするたびになんだか目標が右へ右へとずれていっちゃう。どうやら潮の流れが左へ左へと流れているようです。それもけっこうな勢いで。といってもこれも修正をすればいいだけの話なんで、味も素っ気も無くて申し訳ないですが、あっさりと2周を泳ぎ切ってしまいました。ていうか、全然泳ぎ足りない!さんざ待ち時間が長かったのに、30分も泳げないというのはかなり物足りないです。
岸に上がって待っていると、すぐに吉岡さんも海からあがってきました。タイムが満足いかなかったみたいで苦い顔をしていましたが、やっぱりスタミナ的には全然余裕がありそうな雰囲気。3000mは半分にされちゃいましたからねー。さぞや泳ぎ足りないでしょ。
あらかたの人たちがゴールする中、二人で沖を眺めていると、なんだかぷかぷかと黄色い風船がただよっているのが見えました。ていうか、むっちゃ目立つなぁ…。目印風船の効果は絶大で、岸からくっきりと目視できます。んで装着している人は非常に少なかったので(1500では2名)、風船の下にいるのはシホさんだというのは容易に確認できました。周囲にはライフセイバーのボードが3隻ほど集結し、まさにお姫様状態。でも材木座海岸の時は自分があの状態だったのかぁ……などと思い出しているウチに、ゆらゆらと波を割ってシホさんがゴールしてきました。なんやかやで荒れた海を泳ぎ切れたので、少しは自信も持てたでしょ……と労おうとおもったら、『いやぁ、これだったらもう1周いけたかな?』などと調子をこいていたので、なら最初からぐたぐた言わないで泳げよ!と、もう一回小突きそうになりました。が、自重。吉岡さんの奥さんも無事に1500を泳ぎ切って、ようやく競技終了となりました。
その後は応援にきてくれた下末さん、住吉さんたちと一緒に遅い昼食へ。金谷港の手前にあるばんや食堂は炭酸泉の温泉も併設しているスポーツ帰りにはオススメのお食事スポットですが、ここは量が多いんですよ。ナチュラルに。ハードな運動をこなした後にはピッタリなんですが、1000m泳いだぐらいじゃカロリー収支でおつりがきちゃう感じです。中でもイカかき揚げ丼はアホほどかき揚げが積み重ねられているので有名なんですが、住吉さんは平気でぺろりと完食。実は住吉さん、この日は神奈川からはるばるチャリで応援に来てくれていたんです。そりゃ腹ぺこなのも無理はありません。というか、応援に来てくれたはずの住吉さんが、この日一番ハードに身体を動かしていたという事実。よし、来年は俺も自走で岩井海岸まできてレースに出てやろうかともちょっと考えましたが、来年こそはクラゲいるだろうからなー。やっぱやめとこ。
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