2度目のトランジットに飛び込んできて最初にしたコトは、トイレ〜。調子にのってコーラを飲み過ぎたようです。そんなに暑くない…どころか少々肌寒いほどなのに、そこにキンキンに冷えたコークがあることを知ってしまうと、都度都度補給しないでいることができません。自制心が弱いですね。コークは砂糖なんで飲むと速攻で力が湧いてきますが、もって数分ぐらいです。でもコーク好きにとっては心に元気が出ますからねー。止められません。まあ、これを世間ではコーク中毒というわけですが…。
補給食を口につっこんだ後、相変わらずの雨の中、残り21キロを走りだしました。ミドルのランのコースは国中平野の真ん中あたりまで行って帰ってくる対面コース。ロングはこれを2周します。ほぼフラットめのコースですが、最後の畑野ASまではそこそこの上り坂が続くという、ちょっとイヤなおまけ付き。
足を踏み出すと、脚の付け根の痛みはさほど気にならないものの、やはり思うようには腿が前には持っていけません。それでも最初は佐和田の商店街の目抜き通りを抜けるコース。商店街の人たち総出で道の両端から声をかけてくれるんで、頑張ってキロ4分台で脚を回しちゃいました。こーいうコトをやっているから後悔するわけなんですけどね。そういや小木の坂の途中でも鳴り物で応援されたもんで、向こうから見えなくなるまで調子に乗って立ちこぎ続けちゃったよなぁ…。案の定、市街を抜けて田畑の間を抜けるパートに入ると、ガクンと足腰にキました。アホですね。でもこうやって声援に応えるのが楽しくてやっているようなものなので、やめられないんですよ。ここでもセントレア同様たくさんの人たちが、見ず知らずの私たちを応援してくれます。雨が降っていてもクルマのバックドアを開けてその下で雨宿りしながら、ビーチパラソルを広げたり、家の中から手を振ってくれたり、ホントありがたいです。まあその分都度都度頑張って無理をしちゃうんですけどねw
そんなわけであちこち痛いわヘトヘトだわの状態で、雨に降られながら田んぼや畑の間の道を延々と走ります。街灯もあんまりなくて、これ夜中は真っ暗になっちゃうだろーなーと思ったら、去年Aに出た人から聞いたところ、やっぱり場所によっては足元も見えないくらい真っ暗になっちゃうそうです。安全のために反射ベストも配られるそうですが、まあ別にそれ自体が光るわけでもないですからねぇ。疲れている上に心細くなっちゃうそうですから、ロングの人はタイヘンです。心配な人はライト持ってってください。
でも明るいウチは対面コースなんで、同じコースを走っている仲間と何度か顔を合わせることができます。最初に顔を合わせたのはトーマス石井さんで、7キロ地点だからまるまる7キロは先行されている勘定になりますねー。バイクでなにほど先行されたんだかよく分かりません。Aの先頭の人といい、佐渡はバイクに乗れる人たちの威力をまざまざと見せつけられるコースです。『おー、がんばって!』と、手を上げてきたので、こちらも手を上げてハイタッチ。バチーン!と、手が鳴りました。……痛ェ。どうやら石井さん、まだ元気は充分にあり余っているようです。
バイク同様至れり尽くせりのエイドはほぼ2.5キロおき。もちろんがっつり冷えているコークで元気を繋ぎながら走り続けると、折り返しの坂を過ぎたあたりで今度は望月さんが元気に向こうから走ってきます。石井さんといい望月さんといい、どうしてこんな雨の中を走り続けて元気でいられるんだかよくわかりません。でもまあ少なからずみんなアドレナリンのせいでハイになっているので、エール交換すると、むこうからもこちらがやたら元気に見えているかもしれないですけどねー。でもペースはがた落ちで、キロ6分がせきの山ってトコでしょうか。その後やはり初トラ部のちえ蔵さんに追いついたり、加藤さんとすれ違ったりしましたが、みんなそれなりに笑顔。やっぱ知ってる人と会うと嬉しくてペースも上がるんで、こういう対面コースはイイですねー。
ただその後はしばらくすれ違う相手もなく、再び延々と田んぼの間を走るコースへ。このへんは応援も少なくて元気もいまいち出てこないところです。そんなところに追い打ちをかけるように、また再び腕に巻いたスントのGPSウォッチからイヤ〜な電子音が鳴り響きました。また電池切れかよぉ…。セントレアでは残り1キロで電池が切れましたが、今回は若干長時間モードに設定したのに、残り6キロであっさり命が尽きてしまいました。もうその後はどんな自分がどんなペースで走っているのかも分からないし、残りの距離もよく分からないしで、なんだか気持ちもペースもだだ下がり。前回は1キロだったんでなんとか誤魔化して走りきりましたが、6キロは長い!再び佐和田の市街地が見えてきたときには砂漠にオアシスを見た思いでしたよ。ロングに出ている初トラの金城さんとすれ違いざまにエールを交わしながら、いよいよゴール手前の商店街に。沢山の『お帰りなさい!』を貰いながら、なんとか最後の力をふりしぼって、ゴールゲートまでを走り抜けました。
トータルタイムは7時間36分54秒。後半に行くにつれてグダグダになっていくのはセントレアと同じ。基礎体力の不足を感じちゃいますねー。ゴール後は待ってくれていた石井さん、すぐに続けてゴールしてきた望月さんやちえ蔵さんと互いの完走を喜び合ったりしたわけですが。ゴールの興奮が冷めてきた頃には紛れもない現実に気がつきました。さ・む・い!!
ガーミンの温度計を見ると、実に気温は16度。9月初旬の佐渡島とはとても思えない異常な低温です。しかも身体中びしょ濡れで、風も出てきて、おまけに身体を温めるべき体力も削られちゃってる状態なので、実際の気温以上に肌寒く感じます。フィニッシャーシャツを着込んで、でっかいフィニッシャータオルを肩から羽織っても、なんだか震えがとまりません。なのにこんな中を機材を片付けて撤収しなければならないんだからタイヘンです。そう、ミドルの選手は午後5時までに、ロングとミドルの遅い選手は午後10時までにバイクと荷物をトランジションから持ち出さなければならないんです。それでも晴れてりゃあいいんですけど、ボタボタ雨の降り続く中を、濡れた道具を必死になってバッグに詰めて、ガタガタになった足でバイクを引きずって、アストロマンバスのくるバスステーションまで数百メートルを歩かなければなりません。いきなり第4種目の始まりです。種目は宿へと帰還すること。佐和田に宿を取っている人は宿まで辿り着けばそこで終わりなんですけど、それ以外の人はそんなにイージーにはいきません。なんとかバスステーションに辿り着いてバイクを輪行袋に押し込みましたが、アストロマンバスの時刻表を見ると、ぬお、泊まっている相川地区に向かうバスがでるまで2時間以上も時間があるじゃーないですか。すぐに暖まってメシを食って回復したいのに。なにより早く布団に倒れ込みたいのに、そう簡単には帰らせてくれないようです。それじゃぁ通常のバス路線はないのかと聞いてみたところ、お客さんの泊まっているホテルに向かうバスが出るのはは……2時間30分後ですねぇ。と、のんびり答えられてしまいました。こいつが噂に聞く島時間というヤツなのか?!せっつくことを許してくれません。仕方がないのでバス停で睡魔と戦いながら待機ですよ。着替えた服もなんだかしっとり濡れているし、石井さんも望月さんもバスを使わないので誰も話し相手もいないしで、ベンチに座っているのになんだか気が遠くなりそうです。が、1時間ほどもすると、ちょっと遅れてゴールした加藤さんがバス停にやってきてくれました。こういう時に知り合いがいてくれることのありがたいこと!もーなにか話でもしていないと、身体か石になっていちゃいそうな感じなんですよ。おかげでなんとか気力を保ちながら、バスの到着を迎えることが出来ました。いや、マヂ辛かったです。でもね、ワタシがバス停でこんなヘタレたコトをいっている間にも、ロングの人たちはず〜っと走ってます。あたりはもうすっかり真っ暗になってました。
ホテルめおとに帰ってきてみると、バスから降りたのはワタシ一人だけでした。のろのろと食堂に向かうと、うーん、そんな予感はしてたんですけどね。そこそこ広い食堂なのに、お客はワタシともう一人しかいません。どうやらこのホテルはロングの出場選手が多いようで、まだだーれも帰ってきていないようです。食堂のおばさんたちは手持ち無沙汰そうにぶーらぶら。時刻はもう7時半回ってるんですけどね。これから帰ってくるロングの選手を待って、今晩は深夜まで待機していないといけないんです。食堂脇のロビーのテレビにはゴール会場の様子がずっと映し出されていて、おばさんたちはそれを眺めながらまったりと待機を決め込んでいます。まだまだ遅い人だと帰ってくるのに3時間以上はかかりますからねー。でもおばさんたちゴールの映像を指さしながら、『これ、ウチに泊まってるお客さんじゃない?』なんて楽しそうにしているんで、もう佐渡には完全にこの大会が根付いているんだなぁと、嬉しくなっちゃいました。つられて見ていたらまだゴールしているミドルの選手もいたりしてびっくり。12時間近くもレースをしている計算になります。投げないで戦い続ける選手も素晴らしいし、諦めなければそれだけの時間戦わせてもらえる環境も素晴らしくてありがたいですねー。
食事の後には温泉にたっぷり。相川温泉の効能は関節痛に筋肉痛、疲労回復ほかいろいろあるんですが、今回ほど温泉の効能を感じたのは初めてでした。寒さでおかしくなっていた部分もあるんでしょうが、いろんな痛みがスッとひいて、一夜明けるとその辺を普通に走れるぐらい回復してしまいましたよ。3日目の朝にしてようやくめおと岩の風景を目にしましたが、いやー、岩場なんで海がめっちゃ綺麗ですわ。来年これればシュノーケリング道具を携えて飛び込んでみたいところです。まあ次来るとしたらロングでしょうから、走りきった後に元気が残ってればの話ですけどね。
まあ色々しんどいこともありましたが、それ以上に楽しい大会であることは間違いありません。島をあげて歓迎してくれるんで、是非ともみなさんもエントリーしてみてください。帰りの船はフェリーをオススメします。ワタシはジェットフォイルなんで目にすることは出来なかったのですが、選手たちを紙テープでお見送りしてもらえたそうですよ。
最後にちょっと悲しかったこと。最近オーバーウエイト気味のワタシとしては、シンドイと噂の佐渡トライアスロンを走りきればさすがにいくらか痩せるだろうと期待してレースに臨んだんですよー。今回移動の際に同業の先輩トライアスリートである池田さん(ロングに出場)に、クルマに相乗りさせて貰ったりして大変お世話になったのですが、月曜日に顔を合わせたら、なんだかレース前よりほっそりしてる!やっぱ過酷だったんだなーなどとその時はびっくりしながらも、こりゃ自分も期待できると思って帰宅後多少ドキドキしながら体重計に乗ったのですが……おや?ふ、増えてる!(震え声)ロングとミドルの違いはあるんでしょうが、やっぱコーラがぶがぶ飲んじゃったしなー。メシもうまかったしなー。消費した以上に飲み食いしたら、減るわけないですわな。減量への道はまだまだ遠いようです…
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。